2006年 10月 20日
「憲法九条を世界遺産に」という本を読んだ。 これは爆笑問題の太田光さんと作家の中沢新一さんの対談。 読みやすく訴えるものがあった。 太田さんの美学がいっぱい詰まっている。 戦争していた日本とアメリカが、戦争が終わったとたんにポッと生まれた奇跡が“憲法九条”だと言う。 誰が作ったとかいう次元の問題ではない、国の境を超越した合作だと。 しかし無垢な理想に向かって生まれたこの憲法を今改正しようという動きがある。 この奇跡の憲法を安易に変えてしまうべきではないと私も同感した。 武力を持たない日本が武力をもったところで何ができる? 武力を持つことの意味よりも、持ち続けない意味の方がはるかに深いような気がする。 この憲法があるからこそ日本は美しいのでは? 夢のような場所がこの憲法九条であり、それを守っていくという挑戦を続けていくべきだと思う。 また太田さんは九条を日本の美の代名詞ともいえる“桜”にも投影させている。 薔薇は棘を見せて毒を持っていると示しているが、桜は毒も棘も見せずにただひたすらに美しく咲き誇る。それはときに狂気じみているほど。 今の日本はまさにそのイメージに包まれている。 桜に象徴される恍惚は、おそらく他の国の人々には理解できないのではないかと。 「桜の下には死体が埋まっている」と昔から言う。 それでも日本人は桜に惹き付けられる。その美学は日本人にしか分からない感覚かもしれない。 武力を持つということ。 それは日本が桜の国ではなく、薔薇の国になってしまうということだ。 何だかつまらないような気がする。 他の国ができないことを日本は覚悟を持って戦後から歩み続けてきた。 その価値をやはり守り続けていくべきではないかと思う。 私自身この憲法についてあまり深く考える機会はなかったが、この本を読んで太田さんの熱意に刺激されるとともに、憲法九条の特性・日本の美学について改めて思うところがたくさんあった。 全世界が平和を願っているはずなのに、平和を語ること、そして実践していくことが本当に難しい挑戦であると思った。 憲法九条については誰もが疑問や迷いや矛盾を感じたり不安に思ったりするかもしれない、しかし何の疑問も持たないことのほうがよっぽど危険と思う。 矛盾があるからこそ疑問が生まれ、考える価値があり、平和を意識し続けていけるのではないだろうか。
by nmnl-aya
| 2006-10-20 00:00
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